アブストラクト(24巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治術における末梢肺動脈直径の意義
Subtitle :
Authors : 藤澤凱彦, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部外科学第II講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 8
Page : 1043-1055
Year/Month : 1976 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : フアロー四徴症根治手術の適応を決定する際に, 肺血管床の発育程度は潜在性重症度を示すものとして重要なものと思われる. この肺血管床の発育程度を客観的, 数量的にとらえんがために, 心血管造影によつて末梢肺動脈直径を計測する方法を創案した. 対象として肺動脈正常例30例について, 同じ方法で末梢肺動脈直径を計測し, 正常値を決めた. この正常値とフアロー四徴症の末梢肺動脈直径とを比較し, 正常下限以下を狭小とし, 正常下限以上を正常とし, この末梢肺動脈直径の計測値と従来より手術適応決定の資料とされてきた種々のデータとの関連, および根治手術の成績との関連をしらべ, 果たして, 末梢肺動脈直径値がフアロー根治手術の適応決定あるいは手術予後の判定に有力な資料となりうるかどうかを検討した. その結果, 高度のチアノーゼを伴う症例, 多赤血球症例, 低酸素発作がみられた症例, 心血管造影像において右室流出路狭窄が広範でしかも高度である症例, 肺シンチグラムで肺血流分布異常を呈した症例には末梢肺動脈の狭小な例が多くみられた. 根治手術成績と末梢肺動脈直径との関連をみると, 根治手術55例のうち, 術後に低心拍出症候群の発生をみた10例は, すべて末梢肺動脈狭小例に属しており, そのうち6例が死亡し, 残りの4例は生存しえたが術後管理が困難であつた. これに対し, 末梢肺動脈正常例では, 低心拍出症候群の発生は全くみられなかつた. 根治術後の肺動脈圧, 右室圧ならびに肺動脈楔入圧は末梢肺動脈狭小例において明らかな上昇がみられた. 以上の如く, 末梢肺動脈が正常であるか, 狭小であるかはフアロー四徴症の重症度, 根治手術の成否を予測する上で, 有力な資料を提供するものであることを認めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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