アブストラクト(24巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心筋表面mapping法による心筋虚血部の判定に関する研究-とくに心筋表面pHとアイソトープ法を中心として-
Subtitle :
Authors : 藤原靖之, 百目木公一, 村上和彦, 友成正紀, 石丸新, 尾形直三郎, 春日信照, 北川元信, 小池荘介, 石井定美, 堀口泰良, 古川欽一, 高橋雅俊
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 8
Page : 1068-1075
Year/Month : 1976 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 虚血性心疾患に対する外科療法において, 心筋虚血部の部位および範囲を決定することは重要な問題になつてきている. この研究では, atraumatic methodで術中に虚血範囲を決定する目的で, 心筋表面pH, 心外膜心電図, 心外膜よりの心筋アイソトープ測定を行い, 心筋表面をmappingすることにより, 実験的に心筋虚血部の範囲の決定を試みた. 30頭の成犬を使用し, 左前下行枝の結紮により, 急性心筋硬塞を作成した. 硬塞作成15分後に健常部から虚血部にかけて, 心筋表面pH, 心外膜心電図をmappingするように記録した. また, バルーンカテーテルにより上行大動脈を閉塞し, 同カテーテルより131I-MAAを注入し, 心外膜面より心筋アイソトープをカテーテル型の半導体検出器を用いてmappingするように測定した. 10頭の犬で, 心筋硬塞を作成したまま24時間生存させ, その後に剖検して, 各々の測定部と同一の場所の心筋組織のCPKを測定した. 心筋表面pH測定では, 健常部で8.45~7.53, 平均8.05±0.27であつたが, 虚血部では8.00~6.75, 平均7.58±0.25(p<0.01)と下降した. 心外膜心電図では, 健常部はSTの上昇はみられないが, 虚血部では, STの3~11mV, 平均6.03±2.28mVの上昇がみられた. 心外膜よりの心筋アイソトープ測定では, 健常部のカウントを100%とし, 虚血部のカウントをみると, 平均35.09±7.27%(p<0.002)と減少率は著明であつた. 心筋組織のCPKでも健常部に比して虚血部は著明に下降した. 心筋虚血部位では, 心筋表面pHは著明に低下し, 心外膜心電図ではSTが著明に上昇し, 心筋アイソトープ測定では, カウントは著明に減少し, これら相互間に相関々係があることがわかつた. このことから, 心筋表面pH測定や, 心外膜心電図測定で, 心筋表面をmappingすれば, 心筋虚血部位の範囲決定ができるものと思われ, 臨床的に有用と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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