アブストラクト(24巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環下開心術に伴う血清酵素活性の変動に関する研究―血清GOT, LDH, CPKおよび血清amylaseの変動について―
Subtitle :
Authors : 志田寛, 森本雅巳, 井之川孝一, 津金次郎
Authors(kana) :
Organization : 信州大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 9
Page : 1157-1165
Year/Month : 1976 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環下開心術の生体に及ぼす影響の一指標として, 術中・術後における血清GOT, LDH, CPKおよびamylaseを追求し, 同時にLDHおよびamylaseのisoenzymeの分析より, これら血清酵素変動の本態を検討した. GOTは循環中は不変で, 循環中止後増加し, 術後24時間で最高値を示し, 以後漸減して術後5日で前値に復した. GOT上昇の機序は, 心筋自体の侵襲とそれ以外の手術侵襲とが加味された結果と考えられる. LDHはGOTと同様な変動を示すが, 術後5日ではなお高値を示し, 術後3週で前値に復するようである. LDH-isoenzymeの分析では, 術直後はLDH5の増加を示し, 全身的代謝障害に由来するものと考えられたが, 時日の経過とともにLDH1の増加を示し, 心筋に対する手術侵襲が長期間持続することを示唆した. CPKは体外循環中は不変で, 循環中止とともに増加し, 術後24時間で最高値を示し, 術後5日でほぼ正常範囲内に復する変動パターンは, GOTの場合と同様であるが, 術後24時間における最高値が極めて高値を示すのが特異である. この著明な増加の意義に関しては, 開心術に伴う心筋および骨格筋の侵襲と, 体外循環中の生体臓器の循環異常などが推測される. 血清amylaseは循環中は減少し, 中止後は増加する傾向を示すが, 術後24乃至48時間において, 47%に著明な高アミラーゼ血症を認め, isoenzymeの分析ではsalivary typeの上昇がその主因をなしている所見が認められたが, この本態に関しては明らかではなく推測の域を出ないが, 少なくとも急性膵炎との相関は認められないものと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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