アブストラクト(24巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 全身血流分布動態よりみた体外循環におけるステロイド使用の意義
Subtitle :
Authors : 妹尾嘉昌, 村上泰治, 笠井敏雄, 川上俊爾, 菅田汪, 寺本滋, 岡田和夫*, 山口佳晴*, 小杉功*
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学第2外科, *帝京大学麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 9
Page : 1166-1174
Year/Month : 1976 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開 心術補助手段としての体外循環は手技的にほぼ確立されてきた. しかし開心術後合併症の多くはその成因に何らかの意味で体外循環という侵襲の関与が考えられる. 体外循環の条件は生体より種々の規制を受け, またその規制ゆえに生体に種々の影響を与えていると考えられるが, その一面を体外循環の全身血流分布におよぼす変化より検討した. さらに侵襲よりの防禦の目的でしばしば用いられるglucocorticoidを充填液内に投与した場合の変化の状態を無投与の場合と比較し, この薬剤使用の意義を血流の面より検討した. 雑種成犬で常温, 20%希釈体外循環を行いglucocorticoid投与群・非投与群とも2.2-2.3l/min/m2の送血をした. 潅流前・中両群の循環動態・ガス動態はほぼ同様の状態に維持した. 臓器組織の血流分布および血流量は50±10μのradioactivemicrosphereの141Ce, 51Cr, 85Srでラベルしたものを用いて測定した. 体外循環では固有循環時より脳・肝・副腎・総点血流の分布率が増加するが, 血流量は副腎が著明に増加しており脳・肝ではやや増加, 総肝血流は不変である. 心・膵・脾の分布率は減少し, 血流量はこれらに加え腎・筋も減少する. 他は分布率・血流量とも減少傾向をみた. 潅流時間が長くなると肝・総肝血流が増加し, 心が減少したままであるが他は多少とも固有循環時の状態に近づく傾向がみられる. glucocorticoid投与によりほとんどの臓器組織とくに減少が著しかつたものでの血流の変化の程度が軽減されている. しかし腎血流減少・副腎血流増加には影響を与えていない. 経時的変化をみると, 非投与のものと同じく固有循環時の血流状態に近づく傾向がみられるが, 投与により血流が著しく改善された時などでは減少をみるようになつており, このような作用持続時間は長くはないと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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