Abstract : |
体外循環時の末梢循環動態を経時的観察する方法を求めて, 医用質量分析計を用いて, 筋肉組織の PO2, PCO2をin vivoに測定し, 同時にmicrosphere法を用いて, 開胸前, 完全体外循環5分, 90分の時点で, 筋血流量を測定し比較検討した. 実験には雑種成犬16頭を用い, そのうち8頭は潅流液中に β-metazone 5mg/kg投与し以下に示す結果を得た. (1)筋肉組織PO2は動脈血酸素分圧および筋血量を反映する. (2)筋肉組織PCO2は完全外循環中は, 動脈血PCO2の動向とよく一致し, また組織PO2の上昇する時には組織PCO2は減少し, 組織PO2の下降する時には上昇する傾向がある. (3)筋肉組織PO2は全末梢血管抵抗指数の上昇により減少し, 全末梢血管抵抗指数の下降により上昇する. (4)体外循環中は筋組織PO2は対照時の60%程度の値を示し, 閉胸後対照時値へ回復の早いもの程, 他の循環系パラーターも良好な状態を維持していた. (5)体外循環潅液にβ-methazone 5mg/kgを加えた群では, 完全体外循環5分の筋血流量は対照群より高く, 筋肉組織PO2も高く, 全末梢血管抵抗指数も低かつた. (6)筋肉組織ガス分圧の連続測定法は, 筋肉の循環の動向を反映し, 末梢循環の一指標となりうるものと推定する. |