アブストラクト(24巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 二連銃管を用いた経心尖大動脈送血法実験的研究と臨床応用
Subtitle : 特掲
Authors : 田中二仁, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 9
Page : 1218-1229
Year/Month : 1976 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左心補助循環法として開発した金属製二重管を用いて行うSingle Attachment Heart Bypass法を発展させ, 塩化ビニル製二連銃管による経心尖大動脈送血法を完成し, 122例の開心術に適用した. 早期死亡16例, 遠隔死亡1例を得たが, 本法施行に起因するものは皆無であり, 重大な合併症も発生していない. 生命表分析法による3年生存率は98.8%である. 二連銃管の形状はまず動物実験の結果から決定し, さらに臨床観察の結果から若干の修正を加えた. 二連銃管の選択は患者の体表面積によつて行い, 0.7m2以下は小, 0.7から1.3m2までは中, 1.3m2以上は大とするのが原則である. 経心尖大動脈送血法は術者, 助手, 介助看護婦の緊密な共同作業によつて円滑に行われるが, 送血管先端を上行大動脈心膜翻転部に位置させることと, 心尖の二連銃管挿入孔の閉鎖を必要最小限の強さで愛護的に行うことが肝要である. 本法は幼小児から成人に至るまで広い年齢層に用い得るが, とくに血管の細小な幼小児において効果が大きい. 胸骨正中切開創から行われるために多様な外科的心疾患と術式が対象となるが, 大動脈弁置換術など上行大動脈基部で作業する術式は除外される. 虚血性心疾患がある場合は, 動脈挿管の危険性と比較して決定されるべきである. 1950年代に始まる体外循環技術の実用化とともに行われて来た末梢動脈あるいは上行大動脈への送血法は種々の合併症を伴いがちで, これはときに致命的ですらある. 1966年のChardackら, 1969年の著者らの左心補助循環法から発展させた二連銃管による経心尖大動脈送血法が臨床的にきわめて有用かつ安全であることを確認した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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