Abstract : |
肺癌手術における気管支成形術の適応は, 肺門部早期癌またはそれに準ずる症例, その他の肺門部肺癌または肺門部に癌浸潤のおよぶ肺野型肺癌で, 根治しうると考えられるもの, 非治癒手術に終るものでも低肺機能のため肺剔除には耐えられないが, 本術式と合併治療により効果を期待しうるものである. とくに近年早期癌の増加とともに従来考えられていた進行症例に対するよりも, 肺門部早期癌に本術式の最も良い適応があると考えている. 肺門部早期癌およびそれに準ずる症例3例を含む肺癌19例に気管支成形術を行つた. 術前切除範囲の決定には, 気管支粘膜面の拡がりに対して内視鏡所見, 気管支壁内浸潤およびリンパ節転移に対して気管支動脈造影所見が有用であつた. 手術に伴う危険性はなく, 安全な術式である(手術死亡0). 術後合併症の予防策として, とくに縫合技術に万全の注意と努力を払うことと同時に, 術後管理面における気管支フアイバースコープによる喀痰の除去が最も大切である. 本術式を機能温存, 根治性向上, 手術適応拡大の面から, 又術後のより良き生活とさらに予後の向上を期待しうる点から, 高く評価している. |