アブストラクト(24巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 本邦における限局性胸膜中皮腫例について―限局性胸膜中皮腫2例の経験を中心に―
Subtitle : 症例
Authors : 大畑正昭, 奈良田光男, 阿部貞義, 飯田守, 田中貞夫, 遠藤英利, 西脇隆志, 鈴木博, 小野裕三, 岡田信夫, 隈部時雄, 櫻井勇*,**, 川生明***
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科, *日本大学医学部第2病理, **日大板橋病院病理部, ***日本大学医学部第1病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 9
Page : 1252-1263
Year/Month : 1976 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸膜中皮腫は, Staut, Klempererらが限局性胸膜中皮腫とびまん性胸膜中皮腫とに分類するまで, その名称と分類は混乱していた. 限局性胸膜中皮腫は手術の対象となる点で外科臨床上重要である. しかし限局性胸膜中皮腫の組織像は, 線維性のものから, 腺腔形成やmitosisを伴うものまで種々あり, 予後は必ずしも良好とは云えない. 最近, 著者らは34歳女の巨大なlocalized fibrous mesotheliomaと, 35歳男の手術時限局性であつたにもかかわらず, 最終的にはdiffuse malignant mesotheliomaと診断した症例を経験したので, これらの臨床経過を報告するとともに, 本邦における21例の限局性胸膜中皮腫例を集計して, ClagettらのMayo clinic例との比較検討を加えた. 本邦例においては, ばち状指, 関節痛などの中皮腫に特徴的な症状は少く, 組織学的所見もfibrousのものは予後が良好である. しかし, 一部に細胞異型性, mitosisまたは腺腔形成などを伴うものは, 手術時限局性と考えられても, 術後の慎重なfollow upが必要であると考える. 「I. はじめに」胸腔内腫瘍の発生母地に関しては, 従来種々の見解があり, とくに胸膜腫瘍の発生母地には異論が多い. 胸膜原発腫瘍は1767年Laeutand, 1819年Laennecが "cancer" として報告して以来, その "term" はKlemperer&RabinおよびStant&Murrayが "localized fibrous mesothelioma" と "diffuse malignant mesothelioma" とに分類するまで混乱していた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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