アブストラクト(24巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : chest wall stimulation法による長期ペーシング患者の自己心拍心電図の観察
Subtitle :
Authors : 宇賀四郎, 中村昭光, 前田米造, 佐々木義孝, 中本毅, 宮田健, 原智次, 橋本勇
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 10
Page : 1280-1286
Year/Month : 1976 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : permanent pacingを受けた症例は, 終生医師の管理下におかれるが, pacing中の心電図では刺激の発生や伝導異常の変化を解明するには不十分なことが多い. そこでchest wall stimulation法を術後, 通院患者のfollow upの一手段として採用し, 随意にしかも非観血的に自己心拍心電図を記録し, 初回植込み前のそれと比較検討した. 対象は術後5ヵ月より39ヵ月(平均18.7ヵ月)の39症例で, A-V block21例, sick sinus syndrome14例, atrial fibrillation with bradycardia4例である. A-V block21例中, 5例に改善, すなわち洞調律への回復がみられ, 5例に増悪が観察された. 改善例は初回植込み前, 一時的にではあつても薬剤に反応した症例に多く, 植込み時平均64.8歳である. 増悪例は平均72.3歳と高齢で, うち3例は数回のCWS中断による観察でも, 自己心拍出現はみられず, このような症例ではpacing failureが起れば突然死する可能性が極めて強いことが予測された. 他の2例では, 本法により心筋硬塞および完全右脚ブロックが合併していることが判明した. sick sinus syndrome14例では, propranolol使用中の1例が完全房室ブロックとなつていたが, 全例において突然のpacing中断による自覚症状は全く認めなかつた. これらの結果から, ただちにペーシング患者の長期予後を予測することは, まだ不十分であるが, 反復して本法を行うことにより, follow upのための手段の1つとしての意義が評価されるものである. また本法は, これらの身体的条件の変化を知ることは別に, digitalis剤などの効果判定やgeneratorの不応期の測定およびdemand functionを調べるスクリーニング方法としても, 極めて有効であつた. すなわち, 4例のdemand failureが発見され, その3個を交換し, 他の1例は経過観察中である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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