アブストラクト(24巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工弁, 人工血管による右室流出路形成術
Subtitle :
Authors : 森渥視*, 野口一成**, 横田通夫**, 村岡隆介**, 龍田憲和**, 日笠頼則**, 安藤史隆***, 節家直己***, 山口勝雄***, 神崎義雄***, 河井淳***, 城谷均***
Authors(kana) :
Organization : *滋賀医科大学第2外科, **京都大学第2外科, ***兵庫県立尼崎病院心臓センター外科部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 10
Page : 1333-1342
Year/Month : 1976 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全大血管転位症III群の2例と肺動脈弁欠損を伴うフアロー四徴症1例, 肺動脈弁狭窄, 心室中隔欠損, 動脈管開存を伴う両大血管左室起始症1例の計4例に対しBjork-Shiley tilting disc aortic valve prosthesisとwoven Teflon vascular prosthesisを使用して右室流出路形成術を行つた. 4例ともに術後経過良好であり, 術後5ヵ月から22ヵ月の追跡でも人工弁の機能不全を疑わせる症状もなく, また肺動脈血栓症を疑わせる所見もない. 肺動脈弁欠損を伴うフアロー四徴症には術後まつたく抗凝固療法を行つていないが他の3例には一応現在のところ抗凝固剤を投与している. 右室流出路形成術に使用される弁およびグラフトには弁付同種大動脈, 人工血管と同種大動脈弁, fascia lata composite graftなどが使用されてきた. 最近では人工血管と異種弁(Hancook弁)の組み合わせによる使用が報告されており, 本論文ではこれらについて詳細な検討を加えた. われわれが人工血管と人工弁を使用した理由は入手が容易で各種のサイズのものが得られ, 疾患に応じてグラフトの形状を容易に変更することができ, さらに人工弁はHancock弁に比較して現段階では耐久性の面できわめて優れており血栓症の危険性よりもこれを重視したからである. 人工弁, 人工血管による右室流出路形成術は世界的にもいまだその報告例は少なく, 本邦では本報告例が最初である. また本報告症例中の両大血管左室起始症は世界的にもきわめてまれな疾患であり, 文献上9例に根治手術が行われているにすぎない. 今回の両大血管左室起始症に対するわれわれの手術方法はまつたく新しいものであるので詳細にその方法を報告した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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