アブストラクト(24巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 実験的に作成した左室瘤の左室機能に及ぼす影響とその診断的指標
Subtitle :
Authors : 中村猛, 砂田輝武
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 11
Page : 1455-1468
Year/Month : 1976 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋硬塞部Complianceの相違により, 左室機能の低下は異なり, とくに心室瘤のParadoxical movementでは左室機能障害は著明で, 外科的療法が効果的である. したがって心筋硬塞部のcomplianceを知ることは, 治療方針決定に非常に重要である. 本実験では犬を用いて左室自由壁に心筋切除を行い, その周囲にアメゴムによる人工的左室瘤を作成し, そのComplianceの相違による左室機能の血行動態的影響を考察し, また心内圧曲線から心室瘤Complianceの変化を察知し得る診断的指標について検索した. 血行動態的変化ではComplianceの増加した心室瘤群でPreloadとしての左房, 左室拡張終期圧が著明な上昇を示した. にもかかわらず, afterloadである大動脈圧は低下し, 心拍出量は対照群の約1/2であった. 心筋contractilityの指標としての左室圧max dp/atにおいてもcomplianceの増加で低下が著明であった. すなわちparadoxical movementを有する心室瘤の左室機能障害はきわめて大であった. 左室圧の立ちあがりから頂点までの時間をPeak systolic timeとすると, peak systolic timeは心室瘤壁complianceの増加とともに短縮した. 大動脈圧曲線では有意差がなかった. このことは左室圧の等尺収縮時間がcomplianceの変化に反応するわけで, このpeak systolic timeを経時的に検査すると, 容易に心筋complianceの状態が察知でき, 診断的指標として有用である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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