アブストラクト(24巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌患者の免疫能に関する検討
Subtitle :
Authors : 白日高歩, 吉田猛朗, 井口潔, 原田康子*, 重松信明*
Authors(kana) :
Organization : 九州大学第2外科, *九州大学呼吸器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 12
Page : 1513-1518
Year/Month : 1976 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 癌患者の予後に大きな影響をおよぼすものとして担癌体の免疫能があげられる. われわれは肺癌患者54例について, 治療前の免疫能を次の検査法で検討した. すなわち, 1)末梢血リンパ球数, 2)ツベルクリン反応, 3)DNCB皮膚反応, 4)末梢血リンパ球のT, B cell population, 5)末梢血リンパ球PHA反応である. このうちDNCB反応は感作, challengeを同時に行い, 発赤の程度によってI度からIV度までに分類した. またT, B cell populationはJondalの方法13)にしたがい百分率を出した後, 末梢血リンパ球数の1mm3あたりのT, B cell数を求めた. さらにPHA反応は48時間培養後のリンパ球のthymidine取り込み率で測定した. 以上の測定結果を肺癌病期分類別に比較検討した. 結果:1)肺癌患者末梢血リンパ球数は平均1907(±870)で, 正常人平均2307(±984)に比し低下していた. 病期別には, I・II期例に比し, III・IV期の低下が目立った. ツ反応は病期が進む程, 反応性の低下がみられた. DNCBテストは肺癌症例でIII度の反応低下例がみられた. T cell率は平均48%で正常人平均62%に比して軽度の低下を示した. しかし病期別には著明な変動をみなかった. T cellの絶対数は正常人の1465(±195)/mm3に比して, 873(±474)/mm3と著明な低下を示した. さらに病期別にもI期からIV期迄段階的に低下する傾向をみせた. B cellについては正常人に比し, 進行例で絶対数の軽度の低下をみたが, 免疫グロブリンについてはIgG, IgMの増加をみ, 癌周囲の炎症の影響等が考慮された. PHAによる幼若化能はT-cellと同様, 病期の進行に伴い反応の低下をみせた. 以上の結果よりT cell population, PHA反応は肺癌の臨床病期とよく相関する傾向がある事を確認しえた. さらに術後T cell数の検討では, 予後不良例は術直後からT cell数の減弱が著明であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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