アブストラクト(24巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Impedance Cardiographによる開心術後の血行動態に関する研究
Subtitle :
Authors : 松森正之, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 12
Page : 1567-1584
Year/Month : 1976 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1966年Kubicekの報告以来, Impedance Cardiographyは着実な進歩をとげ, ここ数年来わが国における普及は, めざましいものがある. 生体にとって全く無侵襲で, 連続して心拍出量が測定できるなどの利点から, 著者は本法を応用し, 開心術後の血行動態を検索した. まず, Impedance法と色素稀釈法によるCIはr=0.78で相関し, 本法が臨床上応用できることを知った. 開心術後のCIの推移は, ASD, VSD根治術群ではほぼ一定の傾向を示し, 術後2日目で最低値を示し, 5日目頃にはほぼ正常に復するのがみられたが, Fallot四徴症根治術群や交連切開術群では一定の傾向が見出せなかった. 弁置換術群のうち, 単弁置換例では術直後に一一旦減じたCIが短時間で順調に増加したが, 多弁手術例特にMVR+TVR例では, 術後2日目から5日目にかけて, CIの増加がみられず, 術後1週間目でも平均CIは少なく, 3.0l/min/m2以下であった. 弁置換術後に頻発するショックは, CIが2.5l/min/m2以下の時に発生しやすく, ショック時のCIの平均値は2.2l/min/m2であった. 人工弁置換術後に脈搏数が100/minをこえると, CIが低下する事実を認めた. これは頻脈の際には生体内での人工弁の機能に問題があることを示すものと考えられる. 術直後にisproterenolを使用するに当っては, この点を十分注意する必要がある. Mean Impedance(Zo)の変動は, 肺水腫, 胸水貯留, 心タンポナーデなどの発見のためのよい指標となった. 弁置換術後に, Zoが急激な減少を示した症例や, 術後1週間以後になってもZo値が低く18Ω以下を示した症例の予後は不良であった. 以上のごとく, 本法は生体に対しnon-invasiveであり, 連続して頻回の測定が可能なので, 術後の患者管理に際し, はなはだ有用なモニターとして用いうると結論された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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