アブストラクト(24巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症に対する直視下交連切開術60例の検討
Subtitle :
Authors : 大山朝賢, 川島康生, 藤田毅, 森透, 橋本聡一, 中埜粛, 井原勝彦, 河内寛治, 曲直部寿夫, 藤野正興*, 小塚隆弘*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学第1外科, *大阪大学放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 12
Page : 1585-1592
Year/Month : 1976 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症に対する交連切開術には, 閉鎖式と直視下交連切開術との両術式があるが, これら手術術式の選択に関しては明確な適応基準はない. 教室ではこれらの適応基準の確立のために, 昭和47年1月より本症に対し全例直視下手術を行うこととし, まず35mmにセットしたTubbs dilatorを経左房または経左心室にて挿入し弁口の裂開を行ってきた. 症例は昭和49年3月までにこの方法によって手術を行った60例であり, 弁の性状はSellorsの分類にしたがいI型よりIII型にわけ, 裂開の状態は外科的3群にわけた. そして弁の性状と裂開の状態, 術前のUCGにおける前尖の拡張期後退速度(MDD), 左房造影(LA cineangio)においてみられる弁の最大移動距離(swing distance)について検討し術式選択について考察した. 1)35mmにセットしたTubbs dilatorのみで満足する裂開(弁口は2横指以上)の得られたD-a群は11例(18%)で, 弁の性状はSellors I型5例, II型6例でIII型はなかった. 2)Tubbs dilatorのみでは不充分でさらにメスまたは鋏にて弁口や弁下組織を切離したD-b群は40例(67%)であり, これにはSellors I型5例, ll型27例およびIII型8例が属した. 3)Tubbs dilatorで裂開せんとすると弁の損傷を来し外科的修復を要したD-c群は9例(15%)で, Sellors I型の弁はなく, II型5例およびIII型4例であった. 4)D-a群は閉鎖式に交連切開術を施行しても直視下と同等の結果を有するものであるが, これと術前に施行したUCGにおけるMDDとLA cineangioにおけるswing distanceとの関係についてみると, D-a群のMDDは10mm/sec.以上またswing distanceは12mm以上であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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