アブストラクト(24巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 適正冠灌流法 第1編 基礎実験(装置と方法)
Subtitle :
Authors : 松本学, 今野草二*
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院循環器外科, *東京女子医大心研
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 12
Page : 1614-1621
Year/Month : 1976 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁膜症および大動脈弁周辺疾患に対する外科治療を行うとき, 心臓の固有冠循環が長時間途絶される. この冠循環遮断によって起こる心筋障害をさけるためにこれまでいくつかの方法が検討されてきた. すなわち, 1)心拍停止法, 2)選択的心臓冷却法, 3)冠潅流法である. しかるに最近では, 両側持続冠潅流法が心筋にとってもっとも生理的であり, もっともよい心筋保護法であるという意見が多く冠潅流法の方法, 手技が各施設各様に工夫され臨床応用されている. 1972年Cooleyらは, 1966年から1971年までの5年間に手術された全開心術症例4,732例中51例が術中に合併した急性心筋硬塞で失い, その中13例(11例の大動脈弁置換術を含む)はいわゆる”STONE HEART”を示していたと述べているが, Cooleyらは1971年までの8年間は常温下心拍停止法を用いて開心術を行っていた. また, 1973年半はHottenrottらが大動脈弁狭窄症などで高度の左室肥大のある患者の外科治療にさいして従来, 電気的誘発心室細動法が冠循環を安全かつ効果的にすると考えられていたが術後心内膜下出血壊死による左室低拍出のため死亡していると発表した. これらの報告から, とくに心肥大のある症例にたいする心筋保護として持続冠潅流法の意義をあらためて考えなおす必要が痛感される. 現在行われている適正冠潅流法の基本的な考えはSarnoff以来の心臓の自動調節機構による潅流圧をよりどころにした冠潅流法(圧規制)であるが, この適正と思われる冠潅流圧(70~145mmHg)を保っても一定の冠潅流量が得られている保証が全くなく, したがって安全に心筋保護がなされているかどうかは疑問である. そこで, われわれは適正冠潅流法を確立すべき定量的冠潅流実験装置をイヌ摘出心で作成し, 非負荷拍動心および細動心での適正冠潅流量を定量した(量規制). 適正冠潅流量の評価は心筋収縮能(心筋収縮力と収縮波型)と病理組織学的所見とで行った.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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