アブストラクト(25巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺手術前後における肺表面活性の変動
Subtitle :
Authors : 柳沢正弘, 亀谷寿彦
Authors(kana) :
Organization : 東邦大学医学部第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 1
Page : 21-25
Year/Month : 1977 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺の外科療法を施行した肺疾患患者において, 開胸肺切除後に招来される肺機能の変動については多くの研究がなされており, 手術前にその障害の程度を予知することも可能である. その肺機能は, 換気機能の変動, 動脈血ガス分折値の変動および酸塩基平衡の変動などに開する研究が大部分を占めている. そして肺の代謝機能, とくに肺サーフアクタントが肺の手術前後で, いかに変化するかの研究は少なく, 未解決の分野の1つであると考える. 本研究では開胸手術の前後において, 肺機能検査を行うと同時に, 肺洗浄を行い, 洗浄液の表面張力の変化を見ることにより, 肺サーフアクタントの変化を推測し, 臨床へのアプローチの一手段とすべく検討を行ったので報告する. 当院において最近5年間に行われた胸部および肺切除を行った患者のうちから12例を主な対象とした. 開胸および肺切除の手術を行った患者の手術前後の肺換気機能では, %VC, FVC, 予測肺活量1秒率などは約10~20%の差をもって変動している. 手術の前後における肺洗浄液の表面張力についても, 手術後では最小表面張力有意の差をもって変動していることが示された. また3例について手術の前後で肺洗浄液の燐脂質の分折を行ったが, 手術後においては, PCの減少が認められた. 肺切除を行った場合, 術側残存肺は過膨脹を生じ, また胸壁との間に癒着を生ずることが当然考えられる. したがって肺換気機能の変動とともに, 肺サーフアクタントにも質的変化を生じているものと考えられ, 手術後における残存肺は肺洗浄液の最小表面張力は上昇した状態で安定するものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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