アブストラクト(25巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環と腎機能, とくに開心術後腎機能不全における自由水クリアランス測定の意義について
Subtitle : 特掲
Authors : 十九浦敏男, 村上忠重
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 1
Page : 78-97
Year/Month : 1977 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術を行った62例を対象とし, 体外循環(CPB)前後の腎機能を経時的に測定し, 開心術後腎不全の誘因, 早期診断および治療効果について検討した. CPB中および前後の尿量, 尿比重, 血清, 尿電解質, 滲透圧, 代謝産物を測定し, UUN/BUN, U/S Cr, U/S osm尿中Na/K比, ならびに各種クリアランス(CNa, Ccr, Cosm, CH2O,), 尿排泄指数を求めた. 62例中, 潅流時間150分以下の58例は, 潅流指数2.2L/min/M2以下の低潅流群25例と潅流指数3.0L/min/M2以上の高潅流群33例に分類し統計学的検討を行った. ほかの4例は, 高潅流で5時間以上の長時間体外循環例であった. 低潅流群25例中6例および長時間体外循環4例中2例にのみ腎不全の合併をみた. 低潅流群中腎不全を合併した6例の潅流時間は平均74分と合併しない19例の平均42分に比し, 潅流時間のみに有意差(p<0.001)を認めた. 長時間体外循環2例の腎不全例は, 体外循環前の平均45分の低血圧を伴いそのままCPBに移行した例であった. これより, 低潅流にしてかつ長時間体外循環および潅流前の遷延せるショックが腎不全を惹起しやすいことが示唆された. CPB中の腎機能は, 高潅流群が低潅流群に比し良好であり, 高潅流の維持により腎障害の発生を認めず高潅流が腎不全の予防に有効であった. CPB後の各種腎機能の推移の中から, 5例の腎不全例のCH2O値(平均)は, CPB後1時間で-0.34ml/min, 3時間で-0.17ml/minと0に収斂しかつ正常例に比し有意差を認めた. ほかの正常例はLOSの1例を除き全例CPB後のCH2O値は, -0.3ml/min以下であった. LOSの1例もCH2Oの回復とともに血中代謝産物の上昇は抑制された. CH2Oについで, 尿排泄指数が, CPB後3時間で, 2.9ml/hrにまで低下し健常例と有意差(p<0.05)を認めた. 他の腎機能の指標は, CH2Oに比し遅れて健常例と有意な低下をみた. これよりCH2Oの測定が, 開心術後腎不全の早期診断に簡便で有益である事が判明した. 開心術後腎不全例は, 術後の循環動態が不安定なことより, 多臓器障害の併存をうかがわせた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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