アブストラクト(25巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単純超低体温麻酔に関する実験的研究-とくに血清電解質および脂質代謝について-
Subtitle :
Authors : 多羅尾信, 稲田潔
Authors(kana) :
Organization : 岐阜大学第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 2
Page : 175-189
Year/Month : 1977 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近, 心大血管手術時の電解質異常の重要性が指摘され, とくに超低体温麻酔に伴う低K血症は術後の低心拍出症候群, 不整脈との関係で注目されているがいまだ不明の点が少なくない. また超低体温麻酔下開心例における脂質代謝にも問題がある. 著者はこれらの点を解明するため実験的研究を行った. まず肝血流遮断犬について超低体温麻酔を行い血清電解質, 脂質などの変動を検索した. ついで正常犬の各種臓器の組織均等物質について, Kイオン電極により種々の温度におけるK+濃度を測定しつぎの結果をえた. (1)肝血流遮断犬では超低体温により血清Kは約30%減少するが, 正常犬での減少は約50%で, 両者の減少率に有意の差(p<0.05)が認められた. (2)肝組織均等物質は, 低温でexchangeable K+を吸着し血清K濃度を低下させ, 復温時はこれらを放出する. 横紋筋組織均等物質も低温で軽度ながらexchangeable K+を吸着する. (3)NEFAは肝血流遮断犬では最低温時, 復温時ともに経時的に直線的に減少する. (4)総コレステロールは肝血流遮断犬では冷却により低下し, 復温時も最低温時と同様の低値を示す. (5)トリグリセライドは肝血流遮断犬では最低温時, 復温時ともに減少する. 以上, 低体温時の低K血症は肝・筋によるK吸着に基因することを明らかにした. また, 低体温時に起こるNEFA以外の脂質の減少は肝のリポ蛋白放出の減少によることを確認した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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