アブストラクト(25巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環と大動脈バルーン法の併用に関する実験的, 臨床的研究
Subtitle :
Authors : 木曽一誠*, 勝本慶一郎*, 林郁夫*, 稲田洋*, 井上正*, 竹内慶治**, 西川邦**, 野沢達郎***, 山本省吾***
Authors(kana) :
Organization : *慶応義塾大学外科, **国立埼玉病院外科, ***平塚市民病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 3
Page : 211-216
Year/Month : 1977 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 大動脈バルーン法は心筋硬塞症の心原性ショックの補助循環法としての有効性が認められてきた. 一方, 開心術に際しては, 人工心肺離脱困難例, 術後の低心拍出量症候群に対して適応が拡大されてきたが, 著者らは術中の応用の一つとして, ローラー型ポンプによる定常流をバルーン法を用いて拍動流にする方法を検討した. 実験では雑種成犬を用い, 無血充填にて, Temptrol型気泡型人工肺とローラー型人工心を用い, 完全体外循環を行い, anoxic arrestとし, 胸部下行大動脈に挿入したバルーンをペースメーカにて毎分120回のパンピングを行い拍動流を得た. 1~3時間の潅流でローラー型人工心のみの場合(対照群)と比較し血行動態を検討した. その結果, 平均31mmHgの脈圧を得た. バルーンの膨脹時間を1拍動の約3分の1とすると末梢の腎血流量などは良効に維持された. 体外循環を維持するために必要な補液量も対照群より少なく, blood sequestrationは少量ですむ. 末梢血管抵抗, 静脈還流は3時間までほとんど不変で, 本法により, より生理的循環に近づけることができると思われた. 臨床応用では連合弁膜症などの重症例10例に利用, 体外循環中は血圧, 尿量とも良好に保たれた. 心再拍動もきわめて容易であり, 心拍動時には心電図triggerで補助循環を行い, 良効な効果を得た. われわれはより積極的な術中よりのバルーン法の応用が体外循環の短縮化と術後の低心拍出量症候群の防止につながると考えている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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