アブストラクト(25巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の溶血の時間的推移-遊離ヘモグロビンと尿量の関係-
Subtitle :
Authors : 保浦賢三, 龍野勝彦, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 3
Page : 217-221
Year/Month : 1977 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 従来, 高度の溶血は開心術後の急性腎不全の大きな要因であるとされていた. 著者らは体外循環終了後, 著明な溶血尿を認めた23例を対象として血清遊離ヘモグロビン値と尿量を経時的に測定し検討した. 対象とした症例の平均年齢は23.8±10.7歳で先天性心疾患6例, 後天性心疾患17例であった. 後天性心疾患の多くはNew York Heart Associationの機能分類上II~IV度の重症で術前, 腎機能の低下を示した症例も含まれていた. 検討の結果, 23例中21例は体外循環後上昇した遊離ヘモグロビン値は, 充分な尿量が得られるとともにすみやかに低下した. 2例は不適合輸血によると推定される遊離ヘモグロビン値の上昇が持続した. 23例中, 急性腎不全の発症例はなく, 1例のみLow Cardiac Output Syndromeで死亡した. 田口, Yehらは溶血が急性腎不全の要因の1つであるとしているが, 著者らの検討からは, 溶血自体が腎不全の因子となりうるとしても, 適切な麻酔管理, 術後処置により腎不全の発生は充分に予防できるという結論が得られた. 著者らの対象例はやや年長であるため, 腎機能が未熟と考えられる幼小児の場合は今後の研究・検討が必要であろう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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