アブストラクト(25巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単純体外バイパスの実験研究
Subtitle :
Authors : 伊藤忠弘, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 3
Page : 236-246
Year/Month : 1977 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部下行大動脈遮断時の補助手段としての一時的単純体外バイパスについて, 実験的に検討した. 大動脈弓部から腹部大動脈にシリコーンチューブでバイパスして, 管径の異なった三種のチューブを使用した時の圧差と流量の関係, 脱血により心拍出量を変化させた時の血流分布, 大動脈弁閉鎖不全または僧帽弁閉鎖不全の左心負荷が加わった時の血行動態, 新しい抗凝血性材料のヘパリン化親水性ポリマーを使ったチューブの有用性を確めた. 以下がその結論である. 1)三種の管径のバイパスチューブを使用した時の流量とバイパスチューブ上下の平均圧差は正比例する. また, ある流量を流す時管径が細い方が太い方よりバイパスチューブ上下の平均圧差が大である. 2)長さ70cm, 内径がおのおの5, 6, 7mmのシリコーンチューブをバイパスチューブとした時流れる血流は層流である. 3)この実験ではチューブを流れる血流量は, 拍動流に比して定常流の方が大である. 4)成人で下半身への必要最少血流量の1,800ml/分を流す時, 内径9mmのバイパスチューブではチューブの上下に, 平均圧差12mmHgが生ずる. 理想的な流量4,000ml/分を流す時, 内径10mmのチューブでは20mmHg, 11mmのチューブで平均圧差15mmHgが生ずる. 成人には内径10mm以上のバイパスチューブが望ましい. 5)バイパスを通って下半身に流れる血流量は正常血圧の場合に上記の各サイズのチューブでは心拍出量の57~64%の範囲にあり, 心拍出量(体血圧)が減少(低下)するとこの比も減少する. 6)軽度(逆流量が16~31%)の大動脈弁閉鎖不全または軽度(逆流量が14~68%)の僧帽弁閉鎖不全があっても, 約1時間の単純体外バイパスに心は耐えうる. 7)新しい抗凝血性材料のヘパリン化親水性ポリマー(東レH-RSD)を使用して, 2時間の単純体外バイパスを行ったが全く血栓形成がなく, 一時的単純体外バイパスの材料に適している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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