アブストラクト(25巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術における尿中Noradrenaline, Adrenalineの推移
Subtitle :
Authors : 長柄英男, 小柳仁, 橋本明政, 林久恵, 南孝雄*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学心臓血圧研究所, *東京女子医科大学麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 9
Page : 1138-1145
Year/Month : 1977 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術患者においては麻酔, 手術操作, 体外循環などの侵襲に対し生体の反応としてSympatho-adrenal systemの賦活が生じる. 心疾患を有しすでにSympatho-adrenal systemの賦活状態にある患者のCatecholamine(CA)は正常心を有する患者とは異なったパターンをとることが充分に考えられる. 開心術患者に対するCorticosteroid hormonの大量投与は拡く行われているが, そのCAに対する影響にも検討を加えた. 開心術患者中成人20人を無作為に選び対象とした. 患者は手術前日午後9時に完全排尿させ蓄尿を開始し, 手術室に向う直前に再び完全排尿させControlとした. 手術室に入り麻酔を開始し, 体外循環の始まるまでをPre-ECC, 体外循環中をECC, 体外循環を終了し手術室を出るまでをPost-ECC ICUへ入室後2時間, 6時間の時間尿を採尿しNoradrenaline(NA), Adrenaline(AD)を測定した. NA, ADともControl NA 1.18±0.85μg/hr(以下同様)AD 0.25±0.08よりPre-ECC NA 3.39±3.21 AD 0.92±0.74, ECC NA 5.71±2.99, AD 2.15±1.08と尿中排泄は増大し, Post-ECCにて下降を開始し, ICU6時間でほぼControlに復した. 旧NYHA機能分類ではPre-ECC, ECCにおいてはNA, ADともに, Post-ECCではNAが重症例程排泄が低下しており, I度とIV度では統計学的に有為であった(p<0.10). Corticosteroid hormon投与9例と非投与11例の比較では, NAではECC, Post-ECC, ICU2時間で低かった(p<0.01)がADについては統計学的に有為ではなかった. 6例について術後Swan-Ganz Catheterを挿入し, ECC, ICU2時間での全身血管抵抗を算出した. NA, ADとの相関ではNAとはECCで相関係数0.85, ICU2時間では0.78の相関を示したがADでは相関しなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : モルフィン麻酔, NYHA機能分類, Steroid大量投与
このページの一番上へ