アブストラクト(25巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Bioprosthesisを用いた僧帽弁置換術: 血行動態を中心として
Subtitle :
Authors : 前田肇*, 田村栄稔, 松本学, 田中二仁, 平塚博男, 伊藤勝啓**, 中川敬之助**
Authors(kana) :
Organization : *筑波大学臨床医学系外科, 国立大阪病院循環器外科, **国立大阪病院循環器内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 9
Page : 1202-1210
Year/Month : 1977 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Bioprosthesisを用いたMVR22例の術前後の血行動態について検索した. 術後PWPおよびPAPは有意に低下したが, PAPはMS症例ではなお高値にとどまった. CIは平均24%増加した. LVEDPは術前後で変化が認められなかったが, 術後上昇した例の大部分はMS症例であり, 術後左室への血流量が増加したためと考えた. Bioprosthesisの圧較差は平均3.5mmHgであり, 諸家の報告中最も少なく, 圧較差が認められないものが5例も存在した. 圧較差の弁の種類や大きさによる差は認められなかったが, 大きな弁ほど有利である. CVAは平均3.28cm2(1.54~4.84cm2)であり, 血行動態的に充分な面積があった. しかし, 支持輪の面積よりも狭く, その59.4%であった. 運動負荷によりPWP, LVEDPおよびCIは有意に増加したが, 圧較差は有意な変化を示さず, CVAが増大し, 本弁は血流抵抗の少ない弁であると同時に, 血行動態の変化に流動的に有効に応じ得るすぐれた特性を有している. 運動負荷による血行動態の変化は負荷後3分以内にすべて安静時にもどり, 心臓の負担が軽減されていることが認められた. NYHA分類では2度2例を除きすべて1度に改善されたが, CTRの有意な縮少は6カ月前後を要した. 本弁の術後早期からの機能不全や著しい圧較差の出現は, 弁の扱い方に大きな問題がある. Bioprosthesisは従来のmechanical valveと異なり, 乾燥に弱く繊細な人工弁である. したがって, 術中に絶えず生理食塩水をかけ, 乾燥を防ぎ, 血塊などによる汚染や弁尖の損傷を防ぐために細心の注意をはらうことが肝要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : bioprosthesis, 僧帽弁置換術, 血行動態, 圧較差, 弁口面積
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