アブストラクト(25巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 非開胸的動脈管閉鎖術(Porstmann法)自験例50例における手術成績と手技の改良について
Subtitle :
Authors : 内藤泰顕1), 白倉良太1), 松田康雄2), 井村賢治2), 奏石賢2), 藤井義政2), 佐藤健司3)
Authors(kana) :
Organization : 1)国家公務員共済組合連合会大手前病院心臓外科, 2)国家公務員共済組合連合会大手前病院外科, 3)大阪府立病院放射線診断科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 10
Page : 1270-1277
Year/Month : 1977 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 動脈管開存症に対する人工栓による非開胸的閉鎖術は従来の開胸的手術に比し幾多の長所を有しているが, 未だ本法を施行している施設は少ない. そこで1972年9月1日~1976年6月30日までの自験例50例につき, その手術成績および遠隔成績, さらに最近その手技に多少の改良を加えているのでその実際などにつき報告した. 1)手術成績:50例中男9例, 女41例と多くは女性で年齢は3~39歳(平均13歳). うち47例(94%)にその閉鎖に成功, 死亡例はない. 合併症としては, うまく楔入固定されたと思われた人工栓が実際はそうではなく大動脈へ脱落したもの3例(6%)で, いずれも別の栓で再閉鎖した. その他誘導ワイヤー屈曲のため抜去時に過度の牽引力が栓に加わり肺動脈へ脱落したもの1例, これは開胸的に手術を施行した. 2)遠隔成績:1976年9月30日まで最長4年, 最短2.5カ月, 平均2年の追跡期間中に1例の再発例をみていない. また何ら合併症も起こしていない. 3)手技の改良点:i)Single Catheter Method:動脈管を介しての大腿動静脈間のカテーテルループの作成には従来2本の動静脈側カテーテルを用い行っているがこれは必ずしも容易でない. これに対し1本のカテーテルを静脈側より動脈管を介して大腿動脈に誘導してcatheter loopをつくる方法-Single Catheter Method-は実に容易で, 最近の17例にはこの方法を施行した. ii)人工栓:主な合併症としての大動脈への栓の脱落を防ぐため人工栓の形を従来の紡錘形から亜鈴形にし, 先端のふくらみを肺動脈側へ出すようにした. またこの場合手ごたえで判るので栓の位置がよい部位に入ったことも知りえる.最近の15例はこれを用いた. 以上の成績より本法は幾多の利点を有する安全な治療法であり, 本疾患の治療上第一に考慮してよい治療法と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 動脈管開存症, 非開胸的閉鎖術, Porstmann法, 悪鈴型人工栓, Single Catheter Method
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