アブストラクト(25巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Starr-Edwardsボール弁 第3編の1 僧帽弁置換症例と抗凝固療法
Subtitle : 原著
Authors : 坂下勲, 中村千春, 大谷信一, 橋本良一, 浅野献一
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 11
Page : 1395-1402
Year/Month : 1977 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和40年9月以降145例に僧帽弁人工弁置換術(MVR)が施行され, 病院死10例, 晩期死10例で, 残り125例はすべて追跡可能であった. これらのうち術後1年以上を経過したStarr-Edwardsボール弁による置換例は109例で, 置換人工弁の種類(非被覆弁, 被覆弁)と術直後から使用開始した抗凝固療法の種類(Warfarin単独, Warfarin単独で抗凝血効果不十分な場合Bucolomeを術直後から併用)にしたがって3期に分け, 抗凝固療法の効果と血栓塞栓発生の関連を検討した. 文中, 一過性脳神経障害をT.I.AあるいはType I, 可成りの期間入院を必要とした典型的な脳塞栓症をType IIと分類した. I期は非被覆弁, Warfarin単独使用の組み合せで, 追跡期間6年から11年で40例中Type I 15例, 37.5%, Type II 8例, 20%を経験し, II期の被覆弁, Warfarin単独使用の組み合せの追跡症例40例中, 2年4ヵ月から6年3ヵ月の追跡期間中Type I 5例, 12.5%, Type II 4例, 10.3%, 末梢動脈塞栓2例, 5%の成績であった. II期は被覆弁とWarfarin単独で抗凝血効果が不十分な場合術直後からBucolomeを併用した群で, 29例中Type I 2例, 6.9%, Type II 1例, 3.4%の発生を認めた. 以上の結果から非被覆弁を被覆弁に変更したこと, また, Warfarin単独で抗凝血効果が有効に維持できないと判断した場合, 積極的にBucolomeを併用して抗凝血効果を安定させるようにしたことはStarr-Edwardsボール弁症例で血栓塞栓発生予防に有意義であったと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 非被覆弁, 被覆弁, Warfarin, Bucolome
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