アブストラクト(25巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 義歯誤飲による大動脈食道穿孔の1例報告およびその文献的考察
Subtitle : 症例
Authors : 藤田博正*, 野田辰男*, 畠山忠信*, 行木英生**, 大塚護**, 西田一己***
Authors(kana) :
Organization : *国立栃木病院外科, **国立栃木病院耳鼻科, ***国立栃木病院病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 11
Page : 1490-1496
Year/Month : 1977 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 義歯を誤飲する例は稀ではなく, しかも食道異物の中では最も摘出が困難で, 重篤な合併症をおこしやすい. われわれは義歯誤飲による大動脈食道穿孔の症例を経験したので, 内外の文献的考察を加えて報告する. 患者は75歳の男性, 5日前に義歯を誤飲し来院, 直ちに内視鏡的摘出を試みるも失敗し, 開胸的食道切開により摘出した. 術後小康を保っていたが, 14日目に大量の吐血があり, Sengstaken tubeにより止血し, 危機を脱したが, 32日目再び吐血し死亡した. 剖検により大動脈食道穿孔部よりの出血と判明した. 食道異物の合併症としては, 縦隔炎, 膿胸, 肺膿瘍などがあり, これらは抗生物質, 手術の進歩により, 致命的な合併症ではなくなってきた. しかし大動脈食道穿孔は現在でもなお, 治療困難な合併症である. 異物による大動脈食道穿孔の症例は本邦では未だ報告がなく, 欧米文献の中で記載の明らかなものは58例であった. それによると, 男女比は2.3:1, 平均年齢は34.7歳であった. 異物の種類としては骨が最も多く, 次で貨幣, 安全ピン, 義歯の順であった. また, 症状で特徴的なことは"Signal hemorrhage"といわれる出血で, 致命的大出血の2~3日前にみられている. 誤飲から死亡までの平均期間は25.1日であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道異物, Esophageal foreign bodies, 大動脈穿孔, Aortic perforation
このページの一番上へ