アブストラクト(25巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 拡張性病変を主とした高安動脈炎-とくに長期観察結果を中心として-
Subtitle :
Authors : 福島鼎, 三枝正裕*
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学胸部外科教室, *東京大学医学部胸部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 12
Page : 1622-1642
Year/Month : 1977 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 高安動脈炎に対する外科治療は歴史的には閉塞性病変を中心として展開されてきたが, 最近は動脈瘤, 動脈拡張などの拡張性病変にも手術適応が拡大されている. 本論文は拡張性病変を主とした症例について, 手術例を中心に, 臨床像, 組織像, 臨床経過, 手術成績などを検討し, 本病変の予後と手術適応を論じたものである. また, 欧米に多い巨細胞性大動脈炎による大動脈瘤, 大動脈拡張との異同についても考察を加えた. 高安動脈炎104例のうち, 拡張性病変を主とした症例は22例(21%)であった. 女17例, 男5例であり, 初診時平均年齢は33歳であった. 手術例は14例であり, 手術例と類似した臨床像を示した非手術例は8例であった. 主として血管撮影により, 大動脈瘤型(9例), びまん性大動脈拡張型(7例), 弓分枝動脈瘤型(6例)の3型に分類し, 遠隔成績を追求したが, 平均経過観察期間は8年5カ月であった. 大動脈瘤型, びまん性大動脈拡張型のいずれにおいても, 血管撮影像では大動脈壁は厚く不整であり, 粗大な凹凸を示し, 分節的拡張を示す傾向があった. とくに大動脈瘤型では, 珠数状, 連珠状などを呈し, 2切除例の割面所見では拡張部分が内腔に突出した弁状の隔壁により仕切られていた. また, このような大動脈の拡張性病変を主体とした症例でも, 弓主分枝にはしばしば閉塞性変化が認められたが, 時には拡張性変化を合併していることもあった. 全症例とも慢性例であり, 初診時にすでに動脈壁の石灰化が高率に認められた. 弓分枝動脈瘤破裂のため来院した2例を除くと, 大動脈瘤または弓分枝動脈瘤の経時的拡張傾向は比較的少なく, 破裂例は経験しなかった. しかし, 高血圧, 大動脈弁閉鎖不全などによる左心負荷は次第に増強する傾向があり, 心不全により1例が死亡した. また, 動脈瘤切除例8例中, 直接死亡は破裂性動脈瘤の1例であり, 遠隔死亡は仮性動脈瘤破裂の2例であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高安動脈炎, 大動脈炎症候群, 大動脈瘤, 多発性動脈瘤, 巨細胞性大動脈炎
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