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超音波検査法は多くの領域で著しく発展しており, 胸部においても乳腺や心臓の疾患に対して広く用いられ, その診断的価値も高く評価されている. 一方, 肺や縦隔の疾患に対しては, 肺の含気性による限界が指摘され, この検査法は十分用いられていない. そこで著者らはnon-invasiveな診断方法として, 縦隔疾患に対する超音波の診断能力について検討した. 縦隔疾患および要鑑別症例30例および正常人5例, 計35例を対象としたが, 腫瘍は計21例であり, うち充実性15例, 嚢腫性6例であった. 前縦隔および中縦隔の例は背臥位を, 後縦隔の症例は腹臥位をとり, 病巣を被覆する胸壁上で横断方向および縦断方向に接触複合走査を行い, Bモードで超音波断層像を得た. 30例の縦隔疾患および要鑑別症例のうち, 腫瘤超音波像が得られたものは21例(70%)であり, 胸腺腫, 奇形腫, 神経性腫瘍, 胸腺嚢腫, 悪性リンパ腫, 大動脈瘤で高頻度に腫瘤超音波像を得た. 気管支嚢腫, 縦隔リンパ節結核, 肺静脈拡張症など中縦隔占居腫瘤および重症筋無力症胸腺は検出できなかった. 腫瘤超音波豫は全例中空像を呈したが, 嚢腫性疾患, 血管性疾患では内部エコーを欠いた. 縦隔疾患の超音波診断は嚢腫性疾患, 血管疾患と実質性腫瘤との鑑別に有用であるが, 中縦隔に存在するものには無力であった. |
