Abstract : |
肺血流量の減少を伴うチアノーゼ性心疾患に対する各種短絡手術のうちでBlalock-Tausgig手術は, その手術成績, 術後の臨床症状, 検査成績の点からみてすぐれており, また6ヵ月末満の幼若児に対しても施行可能で, われわれはこれまで第一選択として用いてきた. 現在までのところ6ヵ月未満での成績が他の年齢層に比してとくに悪い結果は得られていない. Blalock-Taussig手術前後に肺シンチグラムを施行し検討を試みた. その方法は, Tc-99m MAAを年齢, 体重に応じて0.8~2.0mCiを経静脈全身投与し, 10~20分後にγカメラを用いて撮像した. 肺シンチグラム施行の目的は, 術前では吻合側決定のため, 術後では吻合効果をみる一指標としたいことにあった. その結果は以下の通りである. (1)術前施行した18例中, 右肺のIsotope uptakeが左肺より多いもの:9例, 左>右肺:5例, 左右均等のもの:4例であった. 結果的にみてuptakeの少ない側に吻合手術施行したものは18例中10例であった. 残り8例はuptakeの多い側への吻合を行った. (2)術後25例では, 吻合側肺のuptake多いもの:8例, 吻合対側のuptake多いもの:12例, 左右均等のもの4例である. すなわち肺シンチグラムの点からみると, Blalock-Taussig術後の肺血流量の増加は, 吻合側肺が対側に比して必ずしも優位ではなく, むしろ吻合対側肺でその血流量が増加している症例が多い. (3)術前後に測定した13例につき, 肺血流量の左右肺分布差の改善という点からみると, 吻合側の左右如何にかかわらず, 術後に分布差の軽減したもの:7例, 増強したもの:4例, 不変のもの:2例である. (4)肺をTarget organとした時のBackground organ uptake(主として腎, 脾, 肝)は術後増強をみたものはない. このことは肺血流量が相対的に増加していることを示すと考えられる. |