Authors : |
入沢敬夫*, 小林稔*, 片桐幹夫**, 中村千春**, 松川哲之助**, 坂下勲**, 江口昭治**, 浅野献一***, 鷲尾正彦* |
Abstract : |
新潟大学第2外科ではFallot四徴症を病型分類し, その病型に適合した流出路狭窄解除術式を選択し行ってきた. 流出路パッチ形成は46.8%に応用され, とくに病型分類のIII型, IV型には小パッチ, 大パッチ, 弁つきパッチが多用された. 術後早期の心不全はこのような流出路パッチ形成例に多発する傾向が明らかにみられ, 手術死亡率も小パッチでは14.6%, 大パッチでは25%, 弁つきパッチでは15.4%と高かった. 著者らはこの心不全の成因として右室収縮性障害, 狭窄の残存, 肺動脈弁閉鎖不全を重視しているが, 手術死亡例の術中の右室/左室収縮期圧比は平均0.8と高く, 狭窄の残存の心臓に及ぼす影響が大きいことを認めている. 高度の狭窄残存のため体外循環を再開し, 流出路形成のやり直しを余儀なくされる場合があるが, このような症例を8例経験したので報告する. 狭窄残存部位から弁四部に狭窄が残存した群4例, 肺動脈主幹ないし分岐部に狭窄が残存した群2例, 弁輪および分岐部に狭窄が残存した群1例, 左右肺動脈が細小のため狭窄が残存した群1例であった. 肺動脈が細小で狭窄の解除が不能であった1例を除き, 2例には新たに流出路パッチを挿入し, 5例にはさらに大きな流出路パッチを挿入して狭窄の解除を計り, 目的を達成した. |