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不完全型心内膜床欠損症(不完全型ECD)に部分肺静脈還流異常症(PAPVR)および心房中隔二次口欠損症(ASD II)を合併した稀れな症例を術前に診断し良効な結果を得たので報告する, 患者は11歳女子で労作時息切れを訴え入院し, 心臓カテーテル検査および心血管造影にて, 右上中葉肺静脈が直接右房に開口しかつASD IIも存することを認め, さらにLV造影にて軽度の僧帽弁逆流とgooseneck's signなどを, 心エコー図にてECDに特徴的なMVT-connectionなどを認めたため不完全型ECDにPAPVRおよびASD IIを合併した症例として術前診断した. 手術時ECDでは術後の僧帽弁逆流などにより溶血性貧血を惹起すことがあるが, これを防ぐ目的にて8枚ばりGore-Tex patchにて心房中隔形成術を施行した. 術後約1ヵ月後の諸検査にて術前より良効な結果を得た. 心内膜床欠損症(ECD)は, 心房中隔1次孔欠損, 僧帽弁前尖および三尖弁中隔尖の裂隙, 房室弁口論内側の下方転位, 心室中隔欠損など特徴とし1), 先天性心疾患中の頻度は1.5～4%とされている2). ECDは発生上の奇形の程度および合併心血管奇形によって幅広い臨床症状を呈するとともに, 手術方法にも問題を残している心疾患である3)～10). |
