Authors : |
重盛隆一, 長谷川隆光, 山口宜伸, 真宮裕, 田野井均, 宮本晃, 矢ヶ崎千良, 海野勝利, 岡崎俊典, 瀬在幸安 |
Abstract : |
Ebstein病に対する外科的根治療法して, 三尖弁挙上転位術と三尖弁置換術とがある. 三尖弁挙上転位術は三尖弁本来の弁尖を利用するため, 弁尖の変化が著しく, 三尖弁の機能不全が強い場合には, 三尖弁置換術の適応となる. 弁置換術における刺激伝導障害の発生防止のため, 多くの工夫がなされてきた. 弁を縫着する際, 十分注意し, His束に縫合針がかかることを避ければ, 伝導障害の発生は防ぐことができる. 人工弁の種類は, 1964年Barnardの成功以来, 各種の弁が使用されている. 三尖弁置換術という条件に加え, Ebstein病では上室性発作性頻脈の発生が多く, 弁機能が頻脈時にも, 十分保たれていることが必要である. 異種生物弁は, 新鮮ブタ大動脈弁を化学的に処理し, 生物弁の利点とともに, 人工弁としての利点を有し, 三尖弁置換術としては, Hancock弁, Carpentier弁など, 生物人工弁が最も適当である. われわれは, Ebstein病の52歳, 24歳の女性に対して, Hancock弁を用いて, 三尖弁置換術を行い, 良好な結果を得た. しかしEbstein病に対する弁置換術の予後は, 必ずしも良くない. |