| Abstract ： |
Subclavian steal syndromeの外科的治療には, 主として胸廓内到達法による血行再建術が行われてきたが, この方法は手術侵襲が比較的大きく, また術後合併症も必ずしも少なくない. 著者らは本症候群の2症例に対して胸廓外到達法による腋窩・腋窩動脈バイパス手術を行い, 満足すべき結果を得たので報告する. 症例1は71歳, 男子の高齢者, 症例2は33歳, 男子の若年者で, 前者は閉塞性動脈硬化症, 後者はピュルガ―病に起因した左側中枢側鎖骨下動脈の閉塞によるsymptomatic subclavian steal syndromeの症例であった. 手術はSniderの術式にしたがい, 両側三角筋胸筋溝に沿い皮膚切開を加えてそれぞれ腋窩動脈を露出し, 内径6mmのダクロン人工血管を前胸壁の皮下を通して, 両側腋窩動脈の中間部(second portion)の間にバイパス移植した. 手術は短時間ですみ, 出血量も少なく, 輸血の必要はまったくなかった. 腋窩・腋窩動脈バイパス手術は, 術式も簡単, 容易で, 輸血の必要もなく, また術後合併症もほとんどなく, subclavian steal syndrome症例, とくにpoor-risk症例にも応用しうる有力な術式と考える. |
