アブストラクト(26巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特発性食道破裂の発性機構および臨床経過に関する検討 -本邦報告60例(自験例を含む)の集計的観察-
Subtitle : 原著
Authors : 貴島政邑, 伊東保, 古賀毅継, 小菅勝, 村山裕, 阿南晃, 長尾房大
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 2
Page : 172-188
Year/Month : 1978 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 特発性食道破裂は稀な疾患であるが, 重篤な経過をとり, 救命も困難な場合が多い. しかも破裂発生の機序についてはいまだ充分理解されていない. 著者らが経験したのは37歳男性の症例で, これは早期診断確定, 早期破裂閉鎖術で治癒した. このような経験を通じ, 本症に興味をもった著者らは本邦における本症の報告例を集めるに, 1975年9月で60例を数える. そこで, これらの集計的観察によって, 破裂発生機序について洞察を行い, さらに発生後の経過の仕方を検討した. 破裂は嘔吐に起因する場合が35例65%と多いが, それによらず, 「特発的」に発生する場合も6例11%あり, また嘔吐以外の力学的因子による場合も13例24%あった. 不明6例, なお「特発的」破裂例や, 嘔吐破裂例の病歴あるいは手術・剖検所見から, 局所脆弱化的あるいは嘔吐促進的前駆的病変(例えば食道炎)が存在する例が約30%と少なくないことがわかった. このことは本症理解に重要な知見と思われる. 破裂後の経過はいずれ治癒(50%)あるいは死(50%)の転帰をとるが, それを左右する因子は種々である. 破裂の展開の方向, 確定診断の時期, 治療の質的水準, 治療が外科的であったか, 姑息的であったかなどが関係する. 最近の報告例に, 姑息的治療の成功例が増加した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性食道破裂, NaclerioのV-sign
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