Authors : |
宮田義彌, 土岡弘道, 阿部稔雄, 清水健, 石原智嘉, 平松隼夫, 吉岡研二, 椙山直敏, 弥政洋太郎 |
Abstract : |
大動脈縮窄症とプアロー四徴症の合併は, 極めて稀であり, われわれが調べえた範囲では, 本邦にその報告例はない. 今回われわれは, 両者が合併し, さらに心房中隔欠損症, 右側大動脈弓, 左鎖骨下動脈走行異常を伴った症例を手術する機会を得たので報告し, 本症の発生, および, この奇型に対する手術方法について考察する. 症例は6歳の女児で, 術前心カテ検査では, 右室圧115/0(50)mmHg, 大動脈縮窄部を越える引き抜き圧曲線で, 収縮期圧30mmHgの圧差を認めた. アンギオその他の検査成績から前記の奇型を確定し, 52年2月, 手術を施行した. 手術は胸骨正中切開, 大動脈送血体外循環下で, 右室流出路狭窄の解除, VSDの閉鎖, 流出路パッチの縫着, VSDの閉鎖を行い, この時点で測定した右橈骨動脈と大腿動脈との圧差は, 平均圧で12mmHgと小さく, 循環動態は安定していたため, 縮窄症は放置した. しかし, 術後10時間目頃より徐々に循環動態が悪化し, 20時間目に死亡した. 剖検により, 流出路狭窄の解除, VSDの閉鎖は充分であり, 大動脈縮窄症はKeithの管前型I型で, 径4.5mmであった. |