アブストラクト(26巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺腫に合併した純赤芽球性貧血の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 大内将弘*, 菅野久義*, 正宗良知*, 鈴木千征**, 安保徹***
Authors(kana) :
Organization : *国立仙台病院外科, **国立仙台病院内科, ***東北大学歯学部微生物学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 2
Page : 212-217
Year/Month : 1978 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は54歳, 女性. 全身倦怠感, 貧血を主訴として来院した. 胸部レントゲン写真では前縦隔に辺縁鮮明の腫瘤陰影を認めた. 検査成績では赤血球156×104, ヘモグロビン5.1g/dl, ヘマトクリット15%, 骨髄燥で赤芽球系0.8%であった. 胸骨縦切開で縦隔に入ると, 腫瘤は胸腺右葉にあり, 周囲組織と癒着なく剥離容易で, 腫瘤を含む胸腺全摘を行った. 組織所見では, 大部分大型の紡錘型細胞で, 少数のリンパ球が混在する胸腺腫で, 悪性所見はなかった. 胸腺腫摘出術のみでは貧血の改善が認められなかったが, 1日30mgのプレドニンを経口的に与えてから貧血の改善を認め, 胸腺摘出術後1年6月, 1日プレドニン10mg服用中であるが, 赤血球380×104, ヘモグロビン11.8g/dl, と改善した. 「はじめに」胸腺腫は重症筋無力症, 純赤芽球性貧血, 無ガンマグロブリン血症, 異所性ACTH症候群などの臨床的に極めて興味ある随伴症状を呈することで知られている1)2). しかしこれらの随伴症状と胸腺腫との関係についてはACTH分泌の認められたクッシング症候群を除げば未だ明らかではない. われわれは最近, 純赤芽球性貧血を伴う胸腺腫例を経験した. 胸腺腫摘出術を行ったのちステロイド療法を加えたところ, 明らかに赤血球数の増加を認めた. この症例は貧血に関する限り胸腺腫と関連づけて考えた方がよいと思われたので, いささか文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺腫, 赤芽球瘍
このページの一番上へ