アブストラクト(26巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 正常心および障害心における心房・心室連続ペーシングの血行動態について-実験的ならびに臨床的研究-
Subtitle :
Authors : 大関道麿, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 6
Page : 682-701
Year/Month : 1978 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 正常心および障害心における心房・心室連続ペーシング(SAVP)の血行動態と本ペーシング法における心拍数と心房・心室至適刺激間隔について検討する目的で実験的ならびに臨床的研究を行った. 実験には雑種成犬21頭を用い, 完全房室ブロックを作成し, これらを正常心筋群として毎分60~180の刺激数で心室ペーシング(VP)およびSAVPを行い, VPとSAVPの血行動態を比較検討した. SAVPについては至適刺激間隔を求める目的で各心拍数において心房・心室刺激間隔を50~250msecに変化させて検討した. 正常心筋群の血行動態観察後に, 同一犬につき心筋障害部を作成して, これらを障害心筋群とし, 正常心筋群同様のペーシングを行って比較検討した. 臨床的研究には心ブロック症例9名を対象とした. おのおのの心室ペーシングにおける心拍数・心係数曲線から, 対象を正常心および障害心に大別して実験的研究と同様のペーシングを行い, VPとSAVPの血行動態を比較検討した. その結果次のごとき知見をえた. 1)正常心, 障害心を問わず至適刺激間隔でのSAVPはVPに比較していずれの心拍数においても有意な心係数の増加をみた. 2)障害心における至適刺激間隔での心係数増加率は正常心の場合と比較して高値を示すことから, 障害心のペーシングに際しては心房・心室収縮の関連性の保持がより有意義と考えられる. 3)至適刺激間隔でのSAVPでは左房中間圧を上昇させずに, 一回拍出量を増加させうる. 4)至適刺激間隔は心拍数によって変化し, 低心拍数では長く, 高心拍数になるにしたがい短かくなる傾向を認めた. 5)障害心に対するSAVPの至適刺激間隔の範囲は正常心の場合に比較して狭いことから, 障害心に対するペーシングに際しては心房・心室刺激間隔を厳重に選定する必要があると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房・心室連続ペーシング, 心房・心室至適刺激間隔, 完全房室ブロック, 冠動脈枝結紮
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