アブストラクト(26巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治術後の右室・左室収縮期圧比に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 竹内靖夫
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第2病院循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 7
Page : 809-818
Year/Month : 1978 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症根治手術の予後判定の指標としてKirklinらの提唱した右室・左室収縮期圧比(以後右室・左室圧比と略す)は, 右室流出路狭窄の除去判定法として広く用いられ, この比が0.75以上であると早期死亡率が高いとされている. しかし, この比は体外循環離脱直後にはかなり変動するため, 術後早期, 遠隔期における右室・左室圧比の変動および, それに影響をおよぼす諸因子を正確に把握する必要を認めた. また次にファロー四徴症根治手術後の右心機能をポンプ機能として表現する定常循環最高右室圧と右室・左室圧比との関係, そして本症根治手術後の予後との関係を検討した. 1. 体外循環離脱直後は橈骨動脈最高圧をもって左室収縮期圧の代用とすると誤差が大きい. 右室・左室圧比は体外循環離脱後から閉胸時まではその値が大きく変動し, 帰室後3ないし6時間で最低値を示し24時間頃より安定した値をとった. また術後の右室・左室圧比の値はその遠隔期には有意に低下していた. 2. 術後の右室・左室圧比と相関する因子としては体外循環時間, 右室流出路狭窄の程度などがあった. 血中ヘモグロビン濃度と右室・左室圧比とは相関がなかった. 術後貸室・左室圧比は種々の血行動態因子に影響をうけるが, 一般的には心拍出量の増加は右下・左室圧比の増大をもたらした. 3. 定常循環最高右室圧の測定により得られる右室予備力と右室・左室圧比の間には相関が認められ, 本症の予後判定の指標として有用であると考えられた. 4. 右室・左室圧比が0.75以上の場合早期死亡率は20%(3/15例), 0.75~0.50の場合は10%(2/20例), 0.50以下は0%(0/17例)であった. また定常循環最高右室隅を測定した29例中2例の死亡があった. 2例ともアイソプロテレノール使用中の測定にもかかわらずその予備力は平均値より低い値を示した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 右室左室収縮期圧比, 定常循環最高右室圧, 右室予備力
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