アブストラクト(26巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腔内迷走神経由来の縦隔神経鞘腫の1治験例について
Subtitle : 症例
Authors : 田中聰, 古谷四郎, 大石健三, 池田敏夫
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 7
Page : 889-893
Year/Month : 1978 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 反回神経分岐部より中枢側の左胸腔内迷走神経幹から発生した59歳, 男子の中縦隔神経鞘腫の1例を経験し, 神経束を可及的に温存して腫瘤を摘出した. 術後, 声帯の運動制限による嗄声をみたが, 1年後の今日ほぼ改善され, 腫瘤再発の徴候もない. 迷走神経原性縦隔神経鞘腫は, 内外の文献上きわめて稀であり, 著者らの調査では, 本症例は本邦における第3報告例である. 「緒言」縦隔神経鞘腫はしばしば遭遇する腫瘍であるが, そのほとんどは後縦隔に存在する肋間神経または交感神経原性のものである. われわれは胸腔内迷走神経から発生して中縦隔に存在した神経鞘腫を経験したが, 内外の文献を通じて, 縦隔腫瘍としてはきわめて稀なものであるので報告する. 「症例」患者:入○重○, 男, 59歳, 会社員 主訴:胸部異常陰影 家族歴:特記すべきものはない. 既往歴:27歳のときにマラリアに罹患し, 約6ヵ月間の加療で治癒した. また50歳のとき胆石症と診断され, 内科的治療をうけたことがある. 現病歴:昭和49年12月の胸部レ線検査ではじめて左上肺野の異常陰影を指摘された. 同50年1月の再検査では陰影に変化はなく, 自覚症状もないままに経過観察中のところ, 同年3月初旬, 胸腔内に軽い鈍痛を感じたために某病院で受診したが確診は得られず, 同年5月6日縦隔腫瘍の診断のもとに当科に入院した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腔内迷走神経鞘腫, 中縦隔神経鞘腫
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