Abstract : |
ネフローゼ加味慢性糸球体腎炎に4/4度の大動脈弁閉鎖不全症を合併している患者と, 慢性糸球腎炎に細菌性心内膜炎後4/4度の大動脈弁閉鎖不全症を来した2症例に対し, Bjork-Shiley大動脈弁置換術を施行した. 後者は1時急性心内膜炎を合併したが, 強力な抗生剤療法で回復した. 2症例共に, BUN, クレアチニンクリアランス, 血清蛋白量, 尿中蛋白排泄量が, 術前に比し著明に改善した. また, 術前後を通じて, 血液透析を行わずにすんだ. 重症度はそれぞれNYHA IV度とIII度だったが, いずれもI度に回復した. 大動脈弁閉鎖不全症が人工弁移植により血行動態的に改善された場合, 腎にどのような影響を及ぼして腎機能の改善をもたらしたかは, 文献的にも不明であるが, 心拍出量の増加, 大動脈平均圧上昇, 脈圧の減少などが関係しているものと思われた. 「はじめに」慢性糸球体腎炎の患者で, 高度の大動脈弁閉鎖不全症を伴っている症例に対し, 体外循環下人工弁置換術を行い, 術後, 全身状態の著明な回復とともに, 腎機能の改善をきたした2症例を経験したので報告する. |