Abstract : |
本的研では, 肺結核患者に対して胸廓成形術(以下胸成術とする)を行うことにより, 招来される肺機能の障害の程度を術前に予測するためにまた胸成術施行後その近接時における回復の様子を換気機能の面から追跡調査するため, それぞれ自験例をあつめ検討を行った. (1)胸成術施行後および近接時においては, 肺機能の損失は比較的少なく, 回復もすみやかである. したがって術後1ヵ年を経過した時点からは, 安定した肺機能を示すものと推測することができる. 肺機能の面からみて手術による侵襲は比較的軽度であると考える. (2)A-群においては, 肋骨切除本数が多くなるにしたがって, 有意差をもって減少する傾向を示している. 肋骨切除本数が5本以内である場合は有意差は認められないが, 6本以上の切除の場合は, 手術前後において, 有意差をもって減少する様相を示している. したがって肋骨切除本数が6本以上になる場合は肺機能の面からみて, 手術侵襲は大きくなるものと考える. (3)B-群においては, 肺切除症例に対して胸成術を行っており, 結果的には複合手術の形態となるために, 肺機能面からみるとその損失も大きく, 手術侵襲は大きくなる様相を示している. 肋骨の切除本数が少なくとも, 手術後においては有意差をもって減少している様子がみられる. したがって肋骨切除本数には関係なく, 肺切除の影響が強く認められるものと考える. (4)胸成術は手術術式が一定しており, また肺機能面においても, 一定の変化を示す. 術前より術後の肺機能を比較的容易にしかも的確に推測することが可能である. (5)手術後第1病日において, 鎮痛剤を投与することにより, 肺機能の改善が認められる. したがって, 適当な量の鎮痛剤投与により, 呼吸状態は改善されるものと考える. |