アブストラクト(26巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 手術年令よりみたFallot四徴症根治手術の問題点
Subtitle :
Authors : 入沢敬夫, 小林稔, 鷲尾正彦, 片桐幹夫*, 中村千春*, 松川哲之助*, 江口昭治*
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科, *新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 8
Page : 939-946
Year/Month : 1978 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Fallot四徴症根治手術成績に影響を及ぼす因子には種々のものがあるが, 手術年齢がこれらの因子に関連する事実はしばしば経験される. この観点から新潟大学第二外科で経験した203例について年齢別に各方面から検討を加えた. 病型分類では高度の右室流出路狭窄は5歳以下例, および21歳以上例では少なかった. 右室流出路形成術では流出路パッチ形成は5歳以下例では73%と多く, 16歳以上例では43.5%と少なく, 年齢による狭窄解除の難易が示された. 一過性の完全房室ブロックは3歳以下例では9.5%に, 心室中隔欠損再開通は16歳以上例では21.7%に発生し, 心室中隔欠損の閉鎖にも年齢の影響があることが推測された. 術後の右心不全は5歳以下例では37%, 低心拍出量症候群は21歳以上例では26.7%と好発した. このような背景から手術死亡は3歳以下例では16.7%, 21歳以上例では20%と高率であった. 遠隔期における高度の血行動態的異常は心機図検査では28%, 観血的検査では10%であった. 残存異常は年齢が低いほど伴いやすく, また心臓に悪影響を及ぼしえることを推測させた. 同様に56例の二期的根治手術例について検討した. 病型分類では一期的根治手術例に比べ狭窄の程度はやや強く, 術式では流出路パッチ形成は67.8%とやや多かった. 術後の心不全は一期的根治手術例とほぼ同様の傾向がみられたが, 手術侵襲に比べ心不全の発生は少ないとの印象を得た. しかし, 手術死亡は5歳以下例では低心拍出量の発生がむしろ高いことを反映し, 25%と多く, 6歳以上例では4.5%と少ないことを認めた. 以上から幼小児や成人に対する本症根治手術には解決さるべき問題があることが明示された. とくに乳幼児期根治手術では症例の選択が重要であり, 重症例に対しては二期的根治手術が有利であること, 成人例では種々の不利があるので留意すべきであることが指摘された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Fallot四徴症根治手術, 二期的根治手術, 手術年令, 右室流出路狭窄, 術後合併症
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