アブストラクト(26巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 原発性縦隔脂肪肉腫, 1手術例の報告と臨床像ならびに治療に関する文献的考察
Subtitle : 症例
Authors : 野々山明, 外山幸正, 福中道男, 藤尾彰, 香川輝正, 駒井義彦*, 泉春暁*, 森井外吉*
Authors(kana) :
Organization : 関西医科大学胸部外科, *関西医科大学第2病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 8
Page : 1031-1037
Year/Month : 1978 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 原発性縦隔脂肪肉腫はきわめて稀であり, 調べえたかぎりでは, 外国文献で50例の報告, 本邦では10例の記載をみるに過ぎない. 私達は本症の1手術例を経験したので, 過去の文献報告例も加えて, 61例について本症の臨床像と治療に関して考察を加え報告する. 症例は66歳,男子で, 胸部X線像で上縦隔に左右両上肺野に突出する楕円形の腫瘍様陰影がみられ, その増大が著明であったため, 悪性縦隔腫瘍の診断で放射線照射後, 昭和52年8月8日に左開胸法で部分切除を行い, さらに放射線照射を追加した後, 同年9月26日に右開胸法で姑息的剔出を行った. その組織像は未分化型の脂肪肉腫で, 多形型あるいは粘液混合型であった. 症状の軽快をみて, 一時退院したが, 頚部に再発して, 同年12月9日不幸の転帰をとった. なお, 剔出腫瘍細胞を培養して制癌剤感受性試験をこころみたが, 試験に供した9剤の制癌剤すべてに感受性を示さなかった. 文献報告例をみても, 放射線療法, 化学療法とも有効とはいえず, 現在のところ, 手術によって, 診断が確定し, 姑息切除に終っても症状の軽減をみ, 時に長期生存例がえられているため, 充分その効果が期待できないとしても, 手術が最善の方法と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 脂肪肉腫, 縦隔腫瘍, 腫瘍細胞培養, 制癌剤感受性試験
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