アブストラクト(26巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全型心内膜床欠損症に対する弁腹中隔形成術
Subtitle :
Authors : 吉栖正之, 宮本覚, 西内素, 中村隆澄, 山家武, 庄村東洋, 馬場国蔵*, 冨田安彦*, 深谷隆*
Authors(kana) :
Organization : 神戸中央市民病院胸部外科, *神戸中央市民病院小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 9
Page : 1055-1062
Year/Month : 1978 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全型心内膜症欠損症(以下CECDと略す)は今なお外科的修復が最も困難な疾患の1つである. 本症に対する手術手技上の問題点は欠損孔閉鎖時の刺激伝導系損傷と房室弁処理の問題の2点につきるが, とくに後者の問題は重要であり術後の房室弁逆流を如何に消失させるかによって術成績が左右されている. われわれは最近1歳3ヵ月女児, Rastelli C型のCECDで動脈管開存とDown症候群を合併し, 肺対体収縮期血圧比1.0, 血管抵抗比0.52と高度の肺高血圧を有する症例と, 4歳男子でRastelli C型のCECDに右室流出路狭窄を合併し, 右左短絡率41.6%とチアノーゼを伴う症例に弁腹中隔形成術を行い良好な結果をえた. 手術方法はまず, 前後の共通弁尖を心室中隔と平行に切開し左右に分割して, 厚さ0.35mmのテフロンパッチを右室筋性中隔に縫着して心室中隔欠損を閉鎖し, ついで, このパッチに裏打され, かつこれと連続する自家心膜をもって僧帽弁中隔尖の弁腹拡大を行い, さらに0.15mmのelastic dacronを用いて心房中隔欠損を閉鎖し, 最後にこのパッチと連続し右房側に延長された心膜と右側の前後共通尖を縫合して三尖弁中隔尖の弁腹拡大を行うものである. 症例1には動脈管結紮を, 症例2には右室切開を追加して右室流出路狭窄解除を併せ行った. CECDの中隔尖は元来低形成の状態にあることから根治術にあたっては僧帽弁, 三尖弁ともに中隔尖を如何に縮小することなく形成して術後の房室弁逆流を防止するかが本症手術の要点である. われわれはRastelliらや城谷らの方法と比較して術式に検討を加えたが, われわれの方法は中隔尖の弁腹を縮少することなく積極的に拡大するものであって房室弁逆流を阻止するうえで優れた効果があることを述べた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全型心内膜床欠損症, 保存的根治術式, 弁腹中隔形成術
このページの一番上へ