アブストラクト(26巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 動脈管開存症に対する開胸的離断術および非開胸的栓詰め術(ポルストマン氏法)症例の比較検討
Subtitle :
Authors : 清水幸宏, 宮本巍, 堀口泰範, 小澤正澄, 大橋博和, 鈴木文也, 末広茂文, 岡本英三, 佐藤健司*
Authors(kana) :
Organization : 兵庫医科大学第1外科, *大阪府立病院放射線診断科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 9
Page : 1093-1104
Year/Month : 1978 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 動脈管開存症(PDA)に対する非開胸的栓詰め術(ポルストマン氏法)は, 従来の開胸的離断術に比し幾多の利点を有する. しかしながらポルストマン氏法の適応となる症例は開胸手術を用いても安全に合併症なく行える可能性が高いので, 本法の2大合併症である肺動脈側および大動脈側へのplugの抜け落ちが生ずれば, その価値も半減する. 文献的考察より見た本法の不成功例および, 合併症を伴う例の多くは, 肺動脈収縮期圧40mmHg以上, 左→右短絡率40%以上の症例である. われわれは22例のPDA症例に対し11例に開胸的離断術を, 他の11例にポルストマン氏法を行い, 全例何等合併症を伴うことなく治癒せしめた. これら22症例を比較検討し, ポルストマン氏法を合併症を伴うことなく成功しえた症例は, (1)大腿動脈径>動脈管最狭部径であり, その差は1.2mm以上であった. (2)臨床的にはその多くは著明な左心不全症状がなく, 胸部レントゲン写真上心胸郭比50%以下で肺血流量の増加が著明でない. (3)血行動態的には低肺血流量, 低肺血管抵抗を有するB群(中田の左-右短絡疾患機能的分類による)が主体である. とくに本法をこれから始めようとする者は上記の症例を選択するのが賢明であり, 本法に熟達するに従い少しずつ適応範囲を広げるべきである. また前述した2大合併症を避けるにはplug作製に際して独自な工夫を要する. (本文参照)開胸例では動脈瘤化したPDA症例や, 高度の肺高血症を有する例に表面冷却による低体温法を併用し, 手術操作を容易にするとともに出血量軽減に有用であることを確認した. 11例のポルストマン氏法施行例中, 最初の1例を除く10例全例にわれわれの考案したsingle catheter methodを用いてpluggingに成功した. PDA 22例全例に右心カテーテルの動脈管通過が可能であった事より, transductal arterio-venous catheter loop作成のために従来用いられた肺動脈内におけるwireのcatching操作は不要と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 動脈管開存症, 開胸的離断術, 非開胸的栓詰め術(ポルストマン氏法), ポルストマン氏法 の合併症, single catheter method
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