アブストラクト(26巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 三尖弁狭窄を惹起した巨大静脈内腫瘍―子宮静脈より進展し, 下大静脈, 右心まで発育した平滑筋腫―の1根治手術例
Subtitle : 症例
Authors : 高野信篤, 田中勧***, 塩入祐世, 本田正節*, 鈴木信****, 小林健二*, 栗林宣雄**
Authors(kana) :
Organization : 国立東京第二病院心臓血管外科, *国立東京第二病院循環器科, **国立東京第二病院病理科, ***防衛医科大学校外科, ****琉球大学内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 9
Page : 1113-1122
Year/Month : 1978 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 子宮静脈叢に始まり, 内腸骨静脈, 総腸骨静脈, 下大静脈, 右心房, 右心室に至る巨大な静脈内平滑筋腫を開心, 開腹の二期的手術により根治切除したので報告する. 患者は子宮筋腫切除の既往を有する41歳女性で, 3年以上にわたり腫瘍の圧迫, 占拠に由来する右心不全, 三尖弁狭窄, 房室ブロックなどの症状に悩まされたが, 手術後4年半の現在, 再発の徴候もなく極めて健康な生活を送っている. 本腫瘍の発生部位は臨床上, 子宮筋腫切除部に近接した内腸骨静脈叢であったことから, 切除標本の総括的な検索を行い, 病理組織学的に子宮筋腫の血管内増殖と診断された珍しい症例である. 腫瘍がこのような進展を示した例は極めて稀であり, しかもこのような長大な心血管腫瘍の切除成功例は世界でも初めてと思考する. 「緒言」静脈腫瘍は極めて稀な疾患とされるが, 時としてそれが下大静脈内を発育して心臓にまで達する巨大な腫瘍に発育した例も報告されている1)2)3). 本症例は3年以上にわたり, 心不全症状を主体とする極めて多彩な臨床症状を呈し, 心カテーテル検査で心内腫瘍を疑われ, 開心術を行って初めて下大静脈より右心内に達する巨大な腫瘍が発見された例である. 腫瘍は開心術と開腹術の分割手術で完全摘出に成功し, 病理組織学的検査では平滑筋腫と診断されたまれな疾患であり, 患者は4年半後の現在健康に生活している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心血管内腫瘍, 静脈腫瘍, 子宮筋腫, Intravascular leiomyomatosis
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