Abstract : |
開心根治術直後の患者管理の指標としては, 従来から血圧, 脈拍数, 心電図および臨床症状などが用いられている. しかし重篤な心疾患や乳幼児症例が手術対象とされるにつれ, 術後管理上心機能の評価が極めて重要である. そこで第1編では, 色素希釈法による心拍出量の計測方法を改善して乳幼児の開心術後早期にも適応できるようにして心機能の評価を行い, また第2編では末梢動脈圧波の分析から心収縮能と心拍出量との両面から心機能の評価を行った. I:乳幼児開心術症例に対する色素希釈法による心拍出量の測定. 生後48ヵ月以下の14症例を対象とし, 1.2~1.4mlの少容量のCuvette回路を用いて色素希釈法による心拍出量を術後2, 6, 15, 24および48時間に測定した. 左右短絡疾患や弁膜症例の心係数は3~4L/min/M2と正常範囲にあるものが多いが, 右左短絡疾患では術後2~24時間では2L/min/M2と低値を示し, 積極的な術後管理により術後48時間で3L/min/M2台となった. また色素希釈法は心拍出量の他に術後遺残短絡の有無の確認が可能である. II:末梢動脈圧波の分析による心機能の評価 6ヵ月から71歳の86症例を対象とし, 術後の末梢動脈圧波形の分析からLVEIとして無敵らのいう1/(Tc2)を求め, 色素希釈法による心拍出量と比較しつつ心機能の評価を行うとともに, 圧波形を4型に大別して術後の心機能を推定した. ことに時間因子としての1/(Tc2)は心収縮能の判定に極めて有用で, 4型に分類した波形の観察とともに, 術後管理上心機能の評価に有用な指標となることがわかった. |