アブストラクト(26巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開胸術後早期の患者における胸腔内cough pressure測定法とその意義
Subtitle : 原著
Authors : 山崎史朗*, 小川純一*, 小出司郎策*, 川田志明*, 正津晃*, 高谷哲夫**, 山崎陽之介**
Authors(kana) :
Organization : *東海大学医学部外科(胸部), **東海大学医学部麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 10
Page : 1190-1197
Year/Month : 1978 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 高年齢者の開胸手術後にみられる合併症のなかで, 肺合併症の占める比率は高い. 高年齢者, 低肝機能者の開胸手術後の病態を観察すると, 手術後数日目より喀痰が増加してくると同時にその喀出が困難となり, 屡々喘鳴, 呼吸困難が出現し, これが術後低酸素血症の大きな原因となる. そこでわれわれは, 喀痰を喀出するための咳嗽力を知ることは術後管理上有意義と思われたので, 開胸手術直後の患者について, 閉胸時に術側胸腔内に留置した食道内圧測定用バルンカテーテルによって, 安静呼吸時の胸腔内圧と同時に咳嗽時の胸腔内圧, いわゆるIntrapleural cough pressure(IPCP)を測定記録し, IPCPの深吸気からの上昇度を咳嗽力の指標とした. 種々の条件下にIPCPを測定し, 以下の結論を得た. (1)基礎実験により, バルン内空気量を1mlとすれば正確に胸腔内圧を測定できることを知った. (2)IPCPの上昇度は術後日を経るにつれて次第に上昇し, 呼息筋力の回復を示した. (3)患者を坐位にした方が仰臥位よりもIPCPの上昇度はやや高く, また, 坐位において患者の咳嗽に一致して胸部を圧迫補助することはIPCPの上昇度をたかめるのに最も有効であった. (4)われわれは, 関胸術後の疼痛を緩和し, 喀痰を出しやすくする目的で硬膜外麻酔法を行っているが, 硬膜外麻酔の咳嗽力に及ぼす効果をIPCPの上昇度より検討した結果, 硬膜外麻酔が自覚的にも有効であった症例では, IPCPの上昇度も明らかに増加し, 硬膜外麻酔法は術後の咳嗽力を高かめるのに有効であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開胸術後呼吸機能, 咳嗽力, 咳嗽時胸腔内圧, 硬膜外麻酔法
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