アブストラクト(26巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環下開心術中の血糖, 遊離脂酸, 中性脂肪, インスリン, 成長ホルモンの変動に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 横田博雅, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 10
Page : 1222-1232
Year/Month : 1978 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術は, 手術侵襲以外に体外循環および体外循環に伴った種々の影響が附加される. 本研究では, 開心術症例18例について術前より術中, 術後を通じて血中レベルでの物質の変動を経時的に測定し, 糖代謝, 脂質代謝面の検討を行い, 下記の結果を得た. なお, 対象を2群に分け, 第I群9例では気泡型人工肺を使用し, 充填液はACD血, 乳酸加リンゲル液等で常温下体外循環を行った. 他の9例を第II群とし, 円板型人工肺を使用し, 充填液はヘパリン加血, 乳酸加リンゲル液, 低分子デキストラン糖液等で中等度低体温下体外循環を行った. 1)第I群では, 人工心肺充填液に糖液を使用していないが, 体外循環中には血糖は徐々に上昇した. 第II群では, 体外循環開始とともに人工心肺充填液中の高濃度の糖が負荷されたが, 体外循環開始後は血糖の減少率は悪く, 体外循環開始後3時間においても非常な高血糖であった. すなわち体外循環中は解糖系の亢進および糖利用の減少した状態であった. 2)両群とも体外循環中は高血糖であったにも拘らず, インスリン分泌増加はみられなかった. 3)体外循環中には, 高遊離脂酸および低中性脂肪がみられた. これには手術侵襲の影響以外に体外循環にさいし使用するヘパリンの作用が関与していることが判明した. 4)体外循環中には, 高血糖, 高遊離脂酸の状態でcaloric homeostasisが成立していない状態であった. 5)体外循環中には成長ホルモンは低値であった. しかし第II群では体外循環終了後1時間には著明な分泌増加がみられた. これらの変動には, 手術侵襲を根底として血糖, 遊離脂酸, 体温の変動等が関与していると考えられたが, そのおのおのの因子については解明できなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環下開心術, 血糖, 遊離脂酸, 中性脂肪, インスリン及び成長ホルモン
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