Abstract : |
反復する肺気道感染を主訴とする6歳, 女児の右副横隔膜の1例を報告すると共に, 従来の文献にみられた13症例とあわせて, その臨床像と外科病理学的事項について概説した. 本症は1例をのぞいて右側に発生しており, 膜様物によって胸腔が2室に区分されるために, 呼吸不全や反復する肺気道感染症状をともなうことが多く, 新生児では呼吸窮迫症の原因ともなる. 本症の診断には, 従来述べられているレ線像上の特徴のほかに, 下室にむかう気管支, 肺動脈が通過する裂孔の辺縁像を見出すことが有用であると思われた. 「緒言」Accessory diaphragm 1)またはSupernumerary diaphragm 2)とよばれる横隔膜奇形はきわめて稀なものであり, 本邦では過去に1例の臨床報告例12)を見るのみである. 最近われわれは, 3年間にわたって反復する肺気道感染症状をともなった本症の1例を経験し, 手術をおこなう機会を得たので報告し, 若干の文献的考察を加える. 「症例」患者:小○昌○, 女, 6歳3ヵ月 主訴:咳, 発熱 家族歴:特記すべきものはない. 患児妊娠中, 母親は健康であった. 既往歴:1歳2ヵ月で麻疹, 3歳で水痘, 5歳で流行性耳下腺炎に罹患した以外に特記すべきものはない. |